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2000/05/21
Last renewal 2001/07/28
 500年前に作られた階段井戸。現在は水脈が移動してしまったため、使用されていませんが、その規模と細かく施された細工からは、日本にあるような単に水を汲む井戸ではなかったことが解かるものでした。壮大な寺院にも匹敵する意匠とその空間からは、ここが神聖な場所であったことをうかがわせます。そうしたこの階段井戸は円形に大地を掘り進み、そこまで階段を作るという地下の建築空間でもあるのです。井戸上部は地上に向かって真直ぐに幾重にも円形の層を作り、地下深いかつての水脈へと光を届けます。それはインド大地への胎内空間でもあるのです。階段の部分もまた階層として作られ、そこは多くの石の支柱が整然と並ぶ空間となっています。私自身これを目にしたとき、ヨーロッパの古典主義建築にも引けを取らない空間だと感じるものでした。ですが、そこにはヨーロッパ建築にはない地下空間としての光があったのです。インドの大地は日差しも強いため、下の空間まで光が届くのですが、それは、階段の並列階層部分に、光を落とす開口が巧みに設けられていおかげで、暗くて周りが見えないという場所はほとんどないのです。そう考えるとこの階段井戸は、光の空間としても優れた地下造形であるといえるものでした。


Dada Hari Ni Van
ダーダ・ハリ階段井戸 Dada Hari Ni Van

建設 1499年
用途 井戸

所在地 インド アマダバード Ahmadabad, India

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